2022年5月18日水曜日

住宅を購入した頃の話--2

あちらが主導権を持っているような形で出直せと言われた日にはさすがの私も少々ムッとしましたが、まあそこは押さえて、どうせこの辺りで探しているのだからと、出直すことにしました。

ウインドウに出ていた物件の紹介記事に色気が出たのです。しかしそこへ行ってくれと言っても応じません。ああ、あそこはダメよ、良くない--と言っていました。なら何で好物件と書いて貼ってあるのと問うと、ごめんねと言うことでした。どうやらおとりのようです。



やっぱりこういうことをするんだなと思いつつも、せっかく母を連れて安くない電車賃を払ってきているので一応は車で案内してもらうことにしました。
でも最初に行ったところは崩れ落ちた廃屋みたいなものでした。隣りと隣接はしているのですが、前の家主はとっくに居なくなって久しい感じで、地盤は緩ん家は傾いてコンクリートにひびが入っていました。そこを建て替えるのだそうです。しかし隣近所や辺りの風景が何となくくたびれていて、向かいの古い家の門柱に犬がよじ登ってずっとこちらに向かって吠えまくっています。元々既に気は萎えていましたが、そんなところを気に入る人ってまず居ないと思います。

もうひとつ案内されたところが、実は相手はここを売りたかったようですが、家は既に建っていて一応の物件でした。しかし不思議なことに玄関が何故か駐車場を通って出入りするようになっていて、車を停めると狭い。当家はもう車には乗らなくなっているのですが、ちょっと奇妙な建て方だと思いました。

緩い斜面をコの字形に削り出して道路にし、その両側に家が並ぶ住宅地でした。ここはビューでも眺めることができます。家は一応でしたが、新建とは言うものの売れないまましばらく経っているのか、完全な新しさがあるかと言えばちょっと疑問でした。

買い物となるとやっぱり車がないとダメ。老いた二人が出かけてどうなるとかのものではないです。バスがあるよと言うけれど、いちいち買い物にバスなんて。バスは東京まで行くのが何本かあって通勤は座ったままで行けるよと言うのですが、アテにできる程のバスがあるのかわからないしそもそもバスの時間はあまりアテにならない。

なら電車はどうかと言うと--求名--という不思議な名前の寂しい駅があって、そこまではちょっとある。知れていると言うけれど、実際歩けばかなり面倒な距離。都内からだと大網で乗り換えて三つ目。大体本数がどれくらいあるのか。不動産屋が言うほど楽に通えるとは思えない。バブルの時は皆遠いところを我慢して通っていましたが、今思うとちょっとおかしかったと思います。

これが三十年近く前なので、本当に寂しい感じの土地でした。今でこそ周辺に色々あるようですが、それでも老人が歩くことを前提でビューで辿っても買い物ができそうなところがありません。コンビニだけです。元からこの辺りに住んでいる人とか、もうすこし開けた住宅地でその周辺にちゃんとスーパーができているならともかく、そこが住みやすいとは思えませんでした。

結局は海側は諦めて埼玉を物色し、都内に出るのも私鉄で座ったまま一本で行けるし、病院も歩いて行けるところに幾つもあってスーパーも駅前喫茶もあって、一応のことは手の届く感じでできる街に現在は住んでいます。そして家族全員がこの街で世を去りました。私も当然そうなるでしょう。

私が回ったところはそうでもないでしょうが、実は千葉はやり損ねて放置状態の開発地が結構あって、八街辺りを含めて山武郡は大変だったかも知れないと思ったりしています。台風でもかなりの被害が出たと記憶しています。当時買った人たちはどうってことなかったのか、ちょっと気になりますね。

写真は記事とは無関係です。

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