簡単に頼みごとをしてくる人ほど面倒なものはない

普段高飛車で愛想もしないのに、頼み事だけはしてくるって人近くに居ないだろうか。

過去には何人も居た。自らはバイトに過ぎないのに社員旅行に旦那まで連れてきて、それはまあ勝手だけど、驚くのは自分たちが遊ぶために他に雑用を平気でさせて憚らない。普段は男なら喧嘩になりそうな高飛車なのに。

旅行中に何故か頭痛がして、ノーシンかバファリンでも持っていないかとその辺に尋ねたら、××さんが持っているから分けてもらったら--と女性の一人が教えてくれた。それで声をかけてみたら完全に無視している。

きっちり想像の着く性格だったから、それならまあ結構と離れた。ところがこの人、旦那と精々遊んだレンタカーのキーをフロントに返しといてくれないかと、もう眠ってしまっていた部屋のドアを叩いて、何事かと思ったらそう言うことだった。お駄賃のつもりなのか、さっきは無視していた頭痛薬を持ってきた。もう治ったからと断ったが、こんな性格を気味悪く思わない人は居ないだろう。私はゾッとした。もし私の女房がこんな性格だったら荷物をまとめて逃げる。もしかして自分と同じだと思って笑う人は居るかな？

大体こういう時にあいつを使ってやろうと何故思うのか。自分のとった態度から考えて、普通ならできるものじゃない。

旅行中だから雰囲気を壊してはならないと、軽蔑だけをぶつけて頼みを聞いてやったが、大体この人は以後も仕事の道具を貸してくれとわざわざ家まで電話をかけてきたことがある。社内でバイトをしているので電話番号を知っているのだ。余っている道具はないと断ったが、どうやら自宅に仕事を持ち帰って賃稼ぎをするつもりだったようだ。そんな時でも自分では買わずに他人のものを使おうとする。その時だって、なんで俺にかけてくるのかと思った。どうやら便利使いはあいつだと決めているのだった。

切羽詰まって助けて欲しいと言ってきた女性もある。年末に仕事が入って、自分は旅行の予定があるのでやってくれないかと。この人は私と同じく外注なのだが、かなり面倒な性格なので電話番号など教えたら困るのだが、ちょっと訊きたいことがあってと適当なことを言われて会社が教えてしまった。

私だってかなりの仕事を持っていた。この業界は休み明けに欲しいと言うところが多いので自然とそうなる。けど、願い倒されて、しょうがないなと苦労して年明けに渡した。すると後の態度がまるで違う。そんなこともなかったかのように知らぬ顔をしている。無理やり頼まれて労働したのだから金は払ってもらわねばならない。するとこっちの請求とは無関係にお駄賃と言って半値程しか払わない。こんな人が現実に居るのだ。

以後はこちらが転居して電話番号も変わった。これはたまたま他の事情があったのだが、これからは誰によらず電話番号は絶対に教えないでくれと釘を刺した。縁が切れればそれで良い。しかしこの人はその後も何度か会社に教えるように迫ったらしい。

これもやっぱりゾッとする性格。外注ばかり呼ばれての会議などがあって、どうしても顔を合わせる。そんな時はかなりネチャ着いて厭らしかった。だけど、何故か会社とは良くて、収める仕事もかなり荒っぽいのに支払いが高かった。その理由も分らない。

隣りの怪物とでもいうのか、実はそんな人は結構ゴロゴロしているのが世の中だ。実は今も周辺にある。これはここでは書かぬが、実際困ったものだ。