2023年1月25日水曜日

夜勤者に人権は?--2

引っ越しで荷物を運びこんでいる時に、既にその犬が吠えていた。並びだからこういう時は吠えるものだろうと思っていた。しかし一応落ち着いてホッとした時でもずっと吠え続けている。随分長い。嫌な予感が走った。しかし夕方になると止まった。

一応の挨拶回りでそこを訪れたが、犬は庭の奥の小屋に入ってこっちを見ていた。中型よりやや大きい雑種だった。毎日でなければ我慢するしかないなと思った。しかし翌日も朝から吠えていた。

結論から言うと、この一家は親は共働き、子供は学校で、犬を置いて全員が外出してしまうのだった。彼らが帰宅するまで、その間ずっと犬は吠えている。よくも近所から苦情が出ないなと思ったら、どうやら近所は皆そんな形で、昼に自宅にいるのは当家くらいのものだった。一定の吠え方があって、それが延々家族が帰宅するまで続く。これは大変なことだった。後悔しても遅いが、購入を決める前にもう少し調べて置くべきだった。家を買うなど初めてなので、完全に甘ちゃんだったのだ。

気の毒は兄だった。都内に居る時から兄もずっと夜勤を続けていた。雇われたのが夜勤だったから嫌なら辞めるしかない。帰宅してちょっと軽いものを食べて横になるのだが、ずっと犬が吠えているので眠れない。夕方の五時六時頃まで我慢するしかないなと、本当に越してきたばかりなのに、ガッカリするばかりだった。

徐々に判明してきたが、この並びの問題はそれだけじゃなかった。両隣の一家にもどうやら問題があった。右隣りの倅はどうやら不良学生で、夜中に悪ガキと家の前でたむろしてタバコを吸いながらボソボソと喋っている。朝になると吸い殻がそこいらに捨てられていて、時には当家の庭にも放り投げられていた。

逆上した私は吸い殻を集めて庭に放り投げてやった。文句言ってきたら精々もめてやろうと思っていたが、意外になかった。

吸い殻なんて危なくてしょうがない。警察にもと思ったら、このガキは既に警察の有名人だった。バイクの窃盗などやらかして何度も警察沙汰になっていたそうだ。

まったく何とも。気持ちがぐったりしてしまった。でも、犬の騒音に比べたら何でもないくらいのものだった。

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