私は正直言って子供の頃は家のなかで居心地が良かった訳じゃありません。年の離れた兄と違って大体出来が悪かったし、親も兄も自分もその認識で生きていました。そんなのが歳喰って出来が良くなるはずがないですからね。正直私から見た家族の印象もあまり良くありません。つまりこの家族で幸せだったという印象があまりありません。兄ともあまり仲は良くありませんでした。兄は親以上に私を叱りましたので、こっちが成人するまでは本当に鬱陶しい存在でした。
でもそれが、実際のところ平均的な日本の家庭だったと思います。ドラマのような絵に描いたような幸せな家庭はあまりないでしょう。しかも現在とあまり比較しない方が良いと思います。
一旦は家電メーカーに勤めまして、意外にもそこでの評価が悪くはなかったものですから徐々に家族の私に対する見方にも変化があったのですが、今度は上司とあれこれありまして会社を辞めました。その後はデザインやイラスト関係の仕事をしたいと思って上京しまして、それ以来、一時期を除いてずっとひとり暮らしでした。
やや業種違いではあっても仕事はどうにか得たのですが、しかし途中から親の家業が傾いて、ある時期からずっと仕送りをする生活でした。自分の食い扶持だけを残して。そして遂に、私がオッサンと言える歳頃になってようやく家業を諦めて私の元に転がり込んできました。
そこからがまた大変。色々金も要ったし気苦労もあるしで。しかしとにかく以後は兄もこちらで勤めることになり一応は平穏な暮らしだったのですが、間もなく父が亡くなり、しばらくして兄が病に倒れて数年後に亡くなり、その後は母と二人で、その母もやがて介護になりました。
介護の途中は決して楽ではなかったし、子供の頃を思うと何故自分がこの立場になるのかと思うことばかりでしたが、それでもやがて母が去ってしまうと、なんだかポカーッと抜けたような感じで、夕方になると気が滅入ると言うか、二年ほどそんな感じが続いたように思います。
私の場合は仕事があったのでそちらに神経が行きましたのでまだマシだったかも知れません。噂には聞くけれど、介護が終わるとヤレヤレどころか気が抜けてしまうことってあるのだなと思いました。 今振り返れば、あの時こうしてやれば良かったとか、どうしてあんなことで怒ってしまったのかとか、そんなことばかり思い返されます。
それでも介護に入ってからの母は昔と違ってかなり柔らかくなった印象でした。奇妙なことを言うこともあったのですが痴呆と言うほどでもなく、気難しくなることはありませんでした。その面では幸いでした。
結局トータルすると、ひとり暮らしの方が多い人生ですね。これからもありますし、最後はどうなるのかなとぼんやり考えます。
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