人は何故マウントを取りたがるのだろう

お前より俺の方が上--何故か人はそう言いたがります。貧乏はより貧乏を本能的に探してそう言いたがる。何故でしょう。どっちみち大したことない庶民が。

先日ヤケ気味に居酒屋へ行って、ヤケ酒というには半分ノンアルで情けないけど、それでもつい飲みたくなる。でなきゃ気がクシャクシャしてしょうがない。

多少はマシな話もない訳じゃない。あとちょっとでローンが終わる。そしたら飲み代が出るぞ。ああでも、せっかく飲み代が出ても飲めない身体になってしまってと、そんなボヤキをママと苦笑しつつ話していたら、ちょっと後から入ってきた町内の親父…。

なーんだ、あんたまだローン払ってんのぉ。うちなんかとっくに払ったぜ、〆て何千何百万。顔が得意顔に歪んでいます。

ああすみませんね、うちは稼ぎが少ないもので--とだけ言って投資をしていることは内緒。つい言いたくなるけどそんなのと競り合うことはない。第一これはママさんとの世間話。そっちは関係ない。当家の近所なんか新建であってもそんなに高いところがあるものか。こっちだって買う時に不動産屋に色々訊いてますがね。

要するにこれって、頭を取りたがっているのでしょう。マウンティング。かなりの人がやりますね。古い昔、社員旅行で出かけた先に過去に一度来たことのある女性、あら、あなたここ初めて？--を繰り返してました。何度も繰り返すので面倒になって無視していたら、嫌あねえ、素直に初めてですって言えば良いのよオホホ----と笑っていたのを思い出しました。全国の観光地をくまなく訪れている人って居ないでしょう。あっても自慢になんかならない。

マウント取る人って見栄っ張りの見本なのですが、不思議に人ってこうなんです。何故か知りません。私はテッペンより谷底を取る方なので、一度そんなの見たらもう近寄りません。

せっかくのヤケ酒も実りなく不愉快になっただけでした。以後この親父を見かけたら帰るようにしましょう。おばけを見たような振りして帰ってやるんだ。