まだまだ先の話だし、そんな余裕はとてもなかった。それが現実。暮らしはどうにかなっていたものの、これでは埋没する。とにかく仕事がなかったから、今までやってきた類でなんとか仕事が見つからないかと思ったのですが、全然ありません。安い賃金のバイトでどうにか雇ってもらって、それでも何とかなってきたのは、過去の蓄えと、そもそも自分自身が安上りな生き物だったからでしょう。用さえ足りていれば私は時計だって100均で大丈夫。そんな生き物です。
だから老後にいくらお金が居るのかなんて考えもしなかった。それでも段々と齢を取るとやっぱり多少は焦りました。30年は長いのに、これという重大な記憶がなにもありません。どうにか生きてきただけのことでした。でもこれって、もしかしたら浮浪者の人たちもそうじゃないか。いつか何とかしたいという気持ちがあっても、いつの間にかズルズルと時間だけが経過する。そこから飛び出しようもない。
で、私も当然歳を喰い、そんなことがぼんやり頭を掠めるようになったのですが、そんな頃、ネットで公開していたイラストなどで注文があったり、過去クビになったあの会社が再編する形で私も参加するようになりました。もしそれがなかったら。
ついそんなことを今振り返ってしまいます。